作品概要
《上杉本 洛中洛外図屏風》は、画家の狩野永徳によって制作された作品。制作年は?。

国宝。米沢藩主上杉家に伝わったもので、洛中洛外図の中でも傑作とされ、国宝に指定されている。狩野永徳が描き、1574年(天正2年)に織田信長が上杉謙信に贈ったとされる(『上杉年譜』)。描かれた景観から制作年代について様々な議論が行われてきたが、今谷明は景観年代を1547年と限定し、永徳筆であることを否定した(『京都・一五四七年』)。今谷説は美術史家にも衝撃を与えたが、その後、瀬田勝哉は景観年代を下げ、注文主を足利義輝と推定。さらに黒田日出男は景観年代を1561年(永禄4年)以後としたうえで、作画完了は1565年(永禄8年)とする史料を示した(『謎解き洛中洛外図』)。従来は、信長が永徳に命じて描かせたものと考えられていたが、現在は屏風の注文主を足利義輝とし、義輝死後の1565年(永禄8年)9月に完成、その後信長が入手し、1574年に上杉謙信に贈ったものとする解釈が有力である。画面の景観年代は必ずしも制作年代に直結せず、粉本をもとに描いた可能性があること、画面に捺される「州信」の朱文円廓内壺形印は、永徳所用印のうちもっとも信頼度の高いものであること等により、美術史家たちは本作を永徳の真筆とみなしている。
こちらで、ぜひ本作品の感想やエピソードを教えてください。作品に関する質問もお気軽にどうぞ。