作品概要
《立法府の腹》は、画家のオノレ・ドーミエによって制作された作品。制作年は1834年から1834年で、メトロポリタン美術館に所蔵されている。

《立法府の腹》は、諷刺版画家であり油彩画家でもあるオノレ・ドーミエ(1808-1879)によって制作されたリトグラフである。
諷刺新聞の創刊者・シャルル・フィリポン
ドーミエがリトグラフの舞台にしたのは、1830年代初めに創刊された週刊の諷刺新聞『カリカチュール』と日刊の諷刺新聞『シャリヴァリ』だった。その創始者のシャルル・フィリポンは、ジャーナリズムと諷刺画を融合して、成功を収めた編集者だ。
王政を批判する内容の刊行物を出すシャルル・フィリポンは、重い罰金を科されるだけではなく、名誉棄損の罪で逮捕される場合もあった。実際、彼は投獄中に、〝報道の自由のための協会〟との異名を持つ月間石版画協会を設立した。定期購読者に配布するために、月間で諷刺画のシリーズを出版した。この企画は政府の検閲による罰則金などに当てられた。
政治家の腹の内
ドーミエは、こうしたフィリポンの刊行物に、定期的に風刺画を制作した。そのうちの作品のひとつが、《立法府の腹》である。諷刺画の繰り返し題材にしたのは、フランス王ルイ・フィリップだ。ルイ・フィリップは、シャルル10世が1830年の7月革命により退位後に、即位した王だ。新王制は、上位中流階級やブルジョワジーが中心に置く政治を展開した。
ルイ・フィリップの治世には、二大派閥があった。ブルジョワジーの味方で、王の政治を支持する中道右派と、王の権限に制限を設けようとする中道左派だ。
《立法府の腹》には、そんな中道右派に所属する35人の名だたる政治家をありのままに描写している。ドーミエは本作に〈1834年の金では買えん議会の、大臣席の眺め〉とサブタイトルをつけている。退屈で、眠そうにしている太りすぎの政治家は、怠惰、傲慢、堕落を表現している。
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