作品概要
《幻想》は、画家のピエール・ピュヴィス・ド・シャヴァンヌによって制作された作品。制作年は1866年から1866年で、大原美術館に所蔵されている。

《幻想》は、1866年にシャヴァンヌによって制作され、同年サロンにて公開された作品である。
シャヴァンヌは、欧州において19世紀後半の最も著名な画家であると同時に壁画装飾家として知られ、国を代表する巨匠として高く評価された。国内の美術館の大規模な壁画やパリのパンテオン壁画などを手掛ける一方、多数の肖像画も描いたことで有名である。
静けさと美しさの象徴
絵画の右上で翼を広げている白い馬は、人間の想像力の可能性を示し、右下で花を摘んでいる少年は美しいものへの憧れ、さらに女性を前面に配置している構成によって、静けさと美しさを演出している。
本作品は、女流彫刻家であるクロード・ヴィニョンのために描かれた4つの装飾画の1つであった。フランスのトゥルコワン市立美術館に所蔵されている他の作品においても、シャヴァンヌの独創的な芸術観が見られる。
人生を変えたイタリアへの旅
シャヴァンヌの絵画に見られるオリジナリティは、イタリアでの熱心な壁画研究時代に遡る。青年期、技師を志し勉学に励んだが、病に倒れ勉学を中止せざるを得なくなった背景があった。療養後に旅をしたイタリアで様々な芸術に触れる機会を得、帰国後に画家を志すようになった。また、ロマン派の巨匠ウジェーヌ・ドラクロワおよび古典的な作風の画家トマ・クチュールに師事し、独自の描写スタイルへと変化していった。
シャヴァンヌの独自の様式は、伝統的な視点が欠落しているという批判もあった。しかし、画家としての経験をもとに独創的にものへと形作られていき、後に続くアンリ・マティスやパブロ・ピカソの若い世代の画家たちに多大な影響を与えることになった。
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