作品概要
《七月の英雄》は、画家のオノレ・ドーミエによって制作された作品。制作年は1831年から1831年で、メトロポリタン美術館に所蔵されている。

《七月の英雄》は、諷刺版画家であり油彩画家でもあるオノレ・ドーミエ(1808-1879)によって制作されたリトグラフである。ドーミエは作品を通して19世紀フランスの社会や政治情勢を批判した。
数えられるだけでも500点の絵画と、4000点のリトグラフと1000点の木工彫刻と、1000点のドローイングと数多くの作品を残した画家だ。政治風刺をした版画家として知られているが、死後は絵画においても価値が認められるようになった。
革命に夢破れた男
フランスでは、1830年に7月革命が起こった。だが、この別名「栄光の三日間」ともいわれる市民革命でさえ、市民たるブルジョワジーの満足する結果にはならなかった。画面の片足を失い、貧困に陥った男は、衣服に質札を貼られている。この悲惨な人生を終わらせようと、議会の前にあるコンコルド橋からセーヌ川に飛びこもうとしている。
首に巻き付けられたロープの先には、パリの革命時にバリケードとして使用された古典的な武器である舗装石がくくりつけられている。ロープには「最後の頼みの綱」と書かれている。
英雄の末路
ドーミエは、パレ・ロワイヤルの近くの書店で1821年に働いていた時、モデルと似た男を見たのだろう。 男は1814年にナポレオンの馬車に投げた石を肌身離さず持ち歩き、通りすがりの人に見せていた。
その後、復古して王位についたルイ18世に、男は、この英雄的行為の報償を求め、年金を請求した。だが、 政府から支払いが拒否されため、男は石を首にゆわえつけて、セーヌ川に身を投げた。
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