作品概要

スザンナ・ベックフォード伯爵夫人》は、画家のジョシュア・レノルズによって制作された作品。制作年は1755年から1756年で、Tateに所蔵されている。

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スザンナ・ベックフォード伯爵夫人の肖像画はロココ期の肖像画家ジョシュア・レイノルズによって1756年に描かれた作品である。

豪華な装い

この肖像画の特筆すべき点は、ベックフォード夫人の顔ではなく、彼女の豪華な装いである。彼女が着用しているのはターコイズブルーと波紋のある銀の絹で作られたサックバックドレスとそれに合わせた絹の縁取りがされたベストである。首飾り、ボレロと袖口のフリルは高級な絹のレースがあしらわれ、ベックフォード夫人の黒髪は覆われずに、リボンとポンポンと呼ばれる羽で飾られている。

彼女が身に着けている宝飾品は、おそらく鉛ガラス製と思われるスナップといわれるクリップ型のイヤリングと、両手首には細密画が施された黒い絹のブレスレットである。右手のブレスレットにはブルーのコートをまとった男性の胸像が見て取れ、左手のは赤い衣装の女性だと思われる。これらの人物の正体は不明だが、おそらく彼女の両親もしくは直近の血縁者だと思われる。

背景

レイノルズがこの肖像画を手がけ始めたのは1755年であると、彼の手帳にあるスザンナ・ベックフォード夫人との4回の約束から推測される。1756年の手帳は紛失しているが、作者により1756年と彼のイニシャルが書き込まれていることにより、この作品がその一年をかけて作成されたものだと思われる。このスザンナの肖像画と対で飾るために描かれたであろう、彼女の夫であるフランシスの肖像画はレイノルズによって1755年に描かれている。(このフランシスの肖像画もTateに所蔵されている)

このスザンナのとフランシスの肖像画は、結婚を記念して依頼されたものだと思われる。スザンナ・ベックフォード(1803年没)は、ハンプシャーのベージングパークを所有する、父リチャード・ラブの財産の唯一の相続人であり、かなり裕福な女性であった。1755年の2月に彼女は、ジャマイカの長官であり、サトウキビのプランテーションと黒人奴隷貿易により莫大な財を成したピーター・ベックフォードの9番目の嫡子であるフランシス・ベックフォード(1768年没)と結婚した。

フランシスはこれが二度目の結婚であり、最初の妻は1754年2月に死亡している。1755年の”ロンドンマガジン”によると、結婚当時の彼女の個人資産は2万ポンド(当時の価値で約5億円)であったと記されている。

当時のアシスタント事情

この肖像画のドレスの部分は高い確率で、別人によるダミーモデルかマネキンによるもので、本人と作者が実際に対峙して描かれたのは、顔とポーズのみである。そしてまた、実際のドレスを描いたのは”ひだ描き職人”といわれる服を専門とする画家か、彼の内弟子でアシスタントのギュゼッペ・マーチ(1808年没)によるものと思われる。

現存する記録がないことから、ベックフォード夫人が、幾らこの肖像画に支払ったかは定かではないが、当時レイノルズは”半分の肖像画”、つまり対の半分である一人分に24ギニー(約2万5千円)を請求していたといわれるので、この肖像画もおそらく同じくらいであろう。

レイノルズがどの程度を”ひだ描き職人”に任せていたかは定かではないが、マーチによると、対の肖像画48ギニー(約5万円)のうち、彼のひだ描き職人であるピーター・トムス(1728-77)は15ギニー(約1万5千円)か、その3分の1以下を受け取っていたという。

この肖像画のベックフォード夫人の左腕は彼女の腰部分に添えられているが、このポーズは女性にはあまり見られないものである。このポーズはアンソニー・ヴァン・ダイクによるウィリアム、ラッセル卿、ディグビー卿などの全身の対になった肖像画に見られるのが元になっているとみられる。

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基本情報・編集情報

  • 画家ジョシュア・レノルズ
  • 作品名スザンナ・ベックフォード伯爵夫人
  • 英語名未記載
  • 分類絵画
  • 制作年1755年 - 1756年
  • 製作国イギリス
  • 所蔵Tate (イギリス)
  • 種類油絵
  • 高さ1270cm
  • 横幅1022cm
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