作品概要
《アゴスティーナ》は、画家のジャン=バティスト・カミーユ・コローによって制作された作品。制作年は1866年から1866年で、ワシントン・ナショナル・ギャラリーに所蔵されている。

《アゴスティーナ》は、フランスの画家ジャン=バティスト・カミーユ・コローにより1866年に制作された油彩画である。ワシントン・ナショナル・ギャラリーに所蔵されている。
描写
石の手すりにもたれかかっている若い女性を、やや下から見上げる構図で描いている。キャンバスの右端で切り取られた木の幹や傾斜した岩肌、家々、小さな金色の雲が点在する空などの霞んだ雰囲気の背景の前で、女性は古代彫刻のように堂々と立っている。女性の服の濃い青と黒の色合いは、背景の雰囲気から女性を目立たせすぎないようにしている。
モデルとなったのは、ジェローム、ドラクロワ、ゴッホ、マネなどの作品にも描かれているプロのモデル、アゴスティーナ・セガトーリである。パリで「カフェ・タンブラン」を経営していた有名なモデルであった。
作品の持つ雰囲気
本作の堂々とした深い雰囲気は、女性の顔、特に陰影のある憂鬱げな目に凝縮されている。イタリアの衣服、美しい真珠のネックレス、特に素晴らしいアレンジの施された黒髪で囲まれた崇高な顔は、古い伝説の登場人物が突然現れたかのような、古典的な尊厳をにじみ出させている。
コローの愛したイタリア
コローは、生涯に三度イタリアの地を旅している。本作に描かれた女性は、画家の憧れの地・イタリアを体現している。この作品は、コローが地中海に囲まれた土地で目にした芸術のような、古典的な雄大さと個性的表現の混在という魅力を持ち合わせている。
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