作品概要
《恋文》は、画家のヨハネス・フェルメールによって制作された作品。制作年は1666年から1670?年で、アムステルダム国立美術館に所蔵されている。

「恋文」はヨハネル・フェルメールが17世紀に描いた作品で、侍女がシターン(水滴型の共鳴体を持った撥弦楽器)を持った女性に手紙を渡しているシーンを表現している。
手前のたくし上げられたカーテンは、限りなくプライベートな場面を覗き込んでいる印象を見る者に与えている。これにはトロン・プイユ(今でいうトリックアート)の要素も含まれており、この時代のオランダ絵画ではよくカーテンで表現している。チェック柄の床の対角線は、奥行きと立体感を表現している。
受け取った手紙が恋文であることは、彼女が愛の象徴であるリュート(シターンの一種で、俗語で「性器とをいう意味でも使われていた」を持っていることから伺える。絵画の下側に脱ぎっぱなしになっているスリッパはセックスを象徴しており、愛の手紙を受けたったという印象を鑑賞者により与えている。部屋入り口に立てかけられた箒は家庭生活を象徴しているかのようで、絵画の隅にあることで、家庭への関心がどこかへ追いやられていることを暗示している。
青色と金色は、この絵を構成する上で重要な役割を担っている。金色は女性のドレス、暖炉の上部、その他インテリアに使用され、床や侍女のドレス、写真のフレームなどに使われている青色を引き立てている。暖炉にはイオニア式の模様が描かれており、この作品がクラシックの影響を受けていることが見て取れる。
壁に掛けてある2つの絵画も意味深い。下の絵画は嵐に荒れる海が描かれており、これは激しい愛の隠喩である。上の方は砂利道を散歩する旅人の風景画で、シターンの女性に手紙を書いた男性の不在を仄めかしている。
この作品は17世紀後半にポーランド・リトビア共和国の国王によって収蔵された。
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