作品概要
《少女》は、画家のヨハネス・フェルメールによって制作された作品。制作年は1665年から1667年で、メトロポリタン美術館に所蔵されている。

《少女》はヨハネス・フェルメールによって1666-1667年頃描かれた絵画作品である。
フェルメールによって描かれた本作は、彼の著名な作品《真珠の耳飾りの少女》と構図、大きさ、雰囲気などが類似しており、同作を変化させた可能性、もしくは対になっていた可能性などが指摘されている。
《真珠の耳飾りの少女》が理想化された美を追求した作品であるのに対して、素朴でありながら微笑ましい笑顔を備えた少女が描かれており、対象的な存在となっている。
モデル
この2つの絵画のモデルは真珠の耳飾りをしており、肩にはドレープのかかったスカーフがかけられ、背景はシンプルな黒色で塗りつぶされている。暗い部屋で描かれているという説もある。
この絵画に描かれている着席しているモデルの鼻は低く、また唇は薄く、また顔は平で素朴な印象を与える。モデルはフェルメールの娘の可能性があるにもかかわらず、理想的な美人とは言いがたい女性を描いたこの作品は、発注されて描かれたものであるというのが一般的な見解である。
トローニー
フェルメールは恐らく生きたモデルを使っているが、『真珠の耳飾りの少女』が肖像画として描かれなかったことと同じように、「トローニー」と言われる手法を使っている。
「トローニー」はオランダ語で容貌や表情を意味する。オランダの17世紀の絵画のタイプの1つで、普段の衣服、好奇心を掻き立てるような顔つき、性格の提示、そして美術的な技術の証明がこれらの絵画に見られる。
この絵画は鑑賞する人々が若い女性の思考や気持ち、また性格を想像したくなるような気持ちにさせてくれる、フェルメールの多くの絵画で典型的に見られるものである。
通常のフェルメールの作品では、背景に装飾品があるなどし、裕福さが表現されているが、《真珠の耳飾りの少女》と《少女》は、モデルの少女たちが深い黒色の背景によって縁取られており、裕福さの表現を欠いている点で、フェルメールの作品の中では珍しい作品である。
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