作品概要
《フルートを持つ女》は、画家のヨハネス・フェルメールによって制作された作品。制作年は1665年から1670年で、ナショナル・ギャラリーに所蔵されている。

作者の論争
《フルートを持つ女》は、1665―1670年頃に描かれたフェルメールの作品であるが、本作はフェルメールの作品であるかどうかが議論されている。フェルメールが描いた後に、他の画家が仕上げたという可能性もある。
本絵画は《赤い帽子の女》と同様、板に描かれている。板に書かれているフェルメールの作品は、この2作品のみである。また《赤い帽子の女》と《真珠の耳飾りの女》と同様に、本作品に描かれたモデルは漆塗りの耳飾りを付けている。
トローニーとしての作品
《フルートを持つ女》はいわゆる『トローニー』である。トローニーとは、衣装を身に纏い、特徴的な表情をしている、もしくはストックキャラクター(文化的類型に強い基盤を持った個性)を持つ人物を描く試みである。
トローニーはオランダの絵画の黄金時代といわれる当時、人気のジャンルであった。トローニーは特定のパトロンのためではなく、大規模市場向けに描かれた。これらの絵画は肖像画とは異なり、描かれるモデルの名前は常に伏せられていた。
来歴
この絵画はピーテル・ファン・ライフェン家によって所有されており、1696年に開催されたアムステルダムのオークションで売りに出された。
19世紀に、この絵画はブラバント公国のバンソン家により所有された。1923年にアメリカの美術品収集家のジョゼフ・E・ウィディーンアーがこの絵画を購入した。1939年、ウィディーンアーがフェルメールの作品を含む彼の豊富で価値のある美術品をナショナル・ギャラリーに寄贈した。
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