作品概要
《キリスト降架》は、画家のアーニョロ・ブロンズィーノによって制作された作品。制作年は1540年から1545年で、ブザンソン美術館に所蔵されている。

《キリスト降架》はイタリアの画家アーニョロ・ディ・コジモ、通称ブロンズィーノによって1540年から1545年ごろに制作された絵画である。この絵は元々、トスカーナ大公コジモ1世の妃エレオノーラ・ディ・トレドによってフィレンツェのヴェッキオ宮殿内礼拝堂の祭壇画として注文された。
しかし礼拝堂が完成したすぐ後、1545年にコジモ1世は神聖ローマ帝国の大臣アントワーヌ・ペルノ・ド・グランヴェルに与え、彼は絵を自分のブザンソンにあった居城の個人礼拝堂に置いた。コジモ1世は代わりに絵の写しをブロンズィーノに注文し、それは今でもヴェッキオ宮殿にある。画面右下の石には「フィレンツェ人ブロンズィーノの作品」というサインが記されている。この作品はフランスのブザンソン美術館に所蔵されている。
描き込まれた注文主
描かれているのはキリストが十字架にかけられて死んだ後、十字架からその遺体が降ろされる場面である。中央にキリストの遺体を抱いた聖母マリアがいる。キリストの弟子である福音書記者ヨハネが遺体を背中から支えている。マグダラのマリアもまた、キリストの足を支えている。
背景ではキリストの別の弟子たちが嘆く様子が表現されているが、その中で聖母マリアの背後にいる女性はひときわ目をひく。研究者らはこれがマリア・クレオパというキリストに従っていた女性だと考えており、注文主のエレオノーラ・ディ・トレドの姿を写したものだという。
作品の様式
冷たい色彩や人物のねじれた複雑な姿勢や身振りによってこの絵はマニエリスムの時代の典型的な作品と評される。
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