作品概要
《中断された音楽の稽古》は、画家のヨハネス・フェルメールによって制作された作品。制作年は1660年から1661年で、フリック・コレクションに所蔵されている。

典型的な求愛
本作はバロック様式の作品で、制作年は1658年~1659年頃である。この作品には、若い女が年上の紳士と音楽の稽古をする様子が描かれており、17世紀のヨーロッパにおける典型的な求愛の様子を表現している。
恋愛における音楽
また、恋愛における音楽の重要性に着目した作品でもある。彼らのいる部屋は、上層ブルジョワジーの人間が所有するような上流階級の部屋の一つである。テーブルの上、歌集の奥に控えめに描かれたワイングラスは、喜びと誘惑の両方を表している。
またこの時代、ワインを飲むという事と恋愛は密接に関連していたが、この作品の中に描かれているグラスの中には、並々と注がれたワインが手付かずのままである。これは、描かれている男女の恋愛関係がゆっくりと進んでいるということを象徴しているのである。
描かれたキューピット
また、背景にぼんやりと描かれた絵画にはキューピッドが描かれている。この画中画が発見されたのは、1907年に作品が復元された時のことである。このキューピッドの絵画に関して、また、この絵画が作品全体とどのように関係があったのかに関しては複数の見解があるが、作品の損傷がひどく真実は明らかにされていない。
17世紀、特に男女で構成されるミュージカルデュエットの存在により、恋愛と音楽はしばしば密接に関連していた。音楽を演奏するということが、若者たちにとって異性との数少ない交流の場だったのである。
作品中の二人の男女は、おそらく上層ブルジョワジーの一員であったであろうことから考えても、非常に洗練され、音楽に関しても教育を受けた者たちであったといえる。
こちらで、ぜひ本作品の感想やエピソードを教えてください。作品に関する質問もお気軽にどうぞ。