作品概要
《アンナ・アレクサンドロヴナ・ゴリツィン王女》は、画家のエリザベート=ルイーズ・ヴィジェ=ルブランによって制作された作品。制作年は1797?年から1797?年で、ボルチモア美術館に所蔵されている。

ジョージアの王女
アンナ・アレクサンドロヴナ・ゴリツィン(1763-1842)はジョージアの王女。1790年、ロシアの貴族ボリス・アンドレーエヴィチ・ゴリツィと結婚した。アンナは夫との間に8人の子供をもうけた。彼女はロシア帝国で最も巨額の財産を所有していた1人で、サンクトペテルブルクで影響力のあるサロンを開いていた。
この肖像画で、彼女は室内着のドレスを着ている。繊細なシュミーズドレスに半袖のシルクのペニョワール(化粧着)を合わせて、色の対比が鮮やかである。頭には羽飾りのついたエキゾチックな深紅のターバンをつけている。
亡命生活の中で製作
作者のエリザベート=ルイーズ・ヴィジェ=ルブラン(1755-1842)はパリ生まれのフランスの画家。18世紀で最も重要な女性画家と言われる。彼女の作風はロココ後期のものとされることが一般的だが、新古典主義風の作品も見られる。20代の頃にマリー・アントワネットの肖像画家となり、約6年の間彼女とその家族の肖像画を描いたことで有名。画商の夫ジャン・バティスト・ピエール・ルブランとの間に1人娘ジャンヌ・ジュリー・ルイーズをもうけた。
フランス革命が起こると、王家との関係が深かったため、身に危険が及ぶのを避けて、娘と共にヨーロッパ各国で亡命生活を送った。この作品は、1795年から1801年まで滞在していたロシアで描かれたものである。フランスで王族や貴族を顧客に持っていたヴィジェ=ルブランは、他の国でもすぐに上流階級の人々の信頼を得ることができた。ロシアではこの作品の他にも、エカチェリーナ2世の家族など著名な人物の肖像画を制作している。
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