作品概要
《落穂拾い》は、画家のジャン=フランソワ・ミレーによって制作された作品。制作年は1857年から1857年で、オルセー美術館に所蔵されている。

《落穂拾い》は、1857年に完成したジャン=フランソワ・ミレーによる油彩画である。収穫後の落穂を拾い集める3人の農婦を描いている。この絵画は、農村社会の最も低い階級にあった農民たちの心を動かしたが、一方で上流階級の人々には受け入れられなかった。
上流階級には不評だった作品
本作は1857年にサロンに出展されてすぐ、中流、上流階級の人々から否定的な批評を受けた。とある美術評論家は、この作品から「1793年の処刑台(ルイ16世らの処刑、つまりフランス革命)」を暗示させる不安要素を読み取ったと言う。
当時、1848年のフランス革命から誕生した裕福な階級は、この作品が下層階級の労働者を賛美しているように見えた。彼らにとってこの作品は、フランス社会は労働者の労働に基づいて築き上げられたものであり、土地所有者が労働者階級を社会主義運動と結びつけることの暗示であった。
本作の労働者階級の描写は、上流階級の人々が、自身の地位に不安を感じるものであった。労働者人口は、上流階級の人口を大幅に上回っていた。この数の格差は、労働者階級が反乱した場合、上流階級が覆されることを意味した。フランス革命がまだ上流階級の心に新鮮だった中、この絵画はまったく認められなかった。
絵画の主張
この作品は、84×112センチという大きなサイズのために認められなかったともいえる。これは労働を描く絵画としては巨大である。通常、キャンバスのこのサイズは、宗教画や神話画を描くものとされていた。本作はキリスト教に関連しておらず、神話的な概念にも言及していなかった。
この作品は、貧困と労働者階級の現実的な見方を示している。ある批評家は、「3人の農婦は大きな主張をしている。彼女たちは貧困の運命の三女神として描かれており、その醜さと卑しさは和らげられていない」と述べている。
落穂拾いという行為自体は、それまでにも旧約聖書のルツを描く表現として存在しており、目新しい主題ではなかった。だがこの作品は、キリスト教に対する敬虔さではなく農村の貧困に関する声明であった。前景に描かれた搾取と貧困の具現と、遠く離れたところで光を浴びる積みわらの対照的な有り様には、聖書にあるような共感、共有といった感覚はない。
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