作品概要
《マリアとマルタの家のキリスト》は、画家のヨハネス・フェルメールによって制作された作品。制作年は1654年から1656年で、スコットランド国立美術館に所蔵されている。

1655年にフェルメールによって完成された本作は、規模としては彼の現存する作品において最大のものであり、また最も初期の作品でもある。
聖書が主題の唯一作
知られている彼の作品の中で唯一聖書に関する主題を描いたものである。聖ルカの福音書の中に姉妹の家へのキリストの訪問を伝えるシーンがある。
登場人物は3人、キリストとマリアとマルタで、場所はベツレヘムの村である。マリアとマルタは聖ラザールの姉妹で、その中のひとりはキリストの弟子である。
主題
マリアが座って話をじっと聞いている一方で、マルタはキリストに食べ物を勧めている。キリストはマリアを褒め、反対にマルタが家事に勤しんでいることを快く思わず話を聞くように諭そうとする。
ユトレヒト派とクウェリヌスの影響
強烈な光と影の分け方、顔の特徴付け、広々とした色の入れ方は、おそらくユトレヒト派の画家から影響を受けたものであろう。ユトレヒト派は、カラヴァッジョの影響を受けたカラヴァッジョ派の1つであり、フェルメール独自の作風とは一線を画している。
また《マリアとマルタの家のキリスト》には、画家エラスムス・クウェリヌスからの影響も見られ、彼の同名作から流用した
特大のサイズと主題からして、この絵は特別な依頼からできあがったものかと推測される。
素材
素材は、アカネレーキ(顔料、元来はラックlacを原料とする深紅色の絵の具、水溶性の染料を沈殿剤で沈殿させ不溶性にした有機顔料、布地の染色・印刷用インクなどに用いる)、黄土色、辰砂(しんしゃ、朱色の顔料として使われる)、白鉛などバロック時代の染料が使われている。
本作は、スコットランドの実業家であるウィリアム・アラン・コーツが1901年に購入したが、その死後はエジンバラにあるスコットランド国立美術館に寄贈された。
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