作品概要
《聖プラクセディス》は、画家のヨハネス・フェルメールによって制作された作品。制作年は1640年から1645年で、国立西洋美術館に所蔵されている。

主題
聖プラクセディスはヨハネス・フェルメールが描いたとされる油絵で、フェルメールの作品であるかどうかについては定かではない。
主題となっている聖プラクセディスは2世紀ごろの人物で、処刑されたキリスト教信者の遺体を清めていたとされており、絵には彼女が海面から絞った殉教者の血を器に注いでいる様子が描かれている。
彼女は姉のポテンティアナとともに、キリスト教への迫害が強まった時期、大勢の信者を助けると共に、亡くなった信者の財産を貧しい信者に分け与えたことから聖人となった。
模写としての作品
もともと、本作品はフェリーチェ・フィケレッリというイタリアの画家が10年前に描いた作品の写しだと考えられていた。この模写は、フィケレッリが描いた作品とほぼおなじ構図をしているが、原作において描かれていない十字架が握られている。
来歴と論争
本作の来歴は不明だが、1943年にニューヨークのオークションハウスにおいてコレクターが購入したことが始まりである。
1969年には、あくまでもフィケレッリの作品としてメトロポリタン美術館で開催された展覧会に出展されたが、そこで「Meer 1655」と読むことのできる署名と、「Meer N R o o」と読むことの出来る署名が見つかった。
後者の署名は「Meer naar Riposo(Riposoに倣って、Meer)」という意味であり、「Meer」はフェルメールの性の別名、Riposoはフィリーチェのあだ名ということから「Meer naar Riposo」と解釈できることにより、フェルメール自身の作品であると考える研究者が増えた。
真偽
本作については、展示がなされている国立西洋美術館において「フェルメール帰属」として記されており、フェルメール作品であるという声は大きくなっている。
もし本作がフェルメールの真作であるならば、《マリアとマルタの家のキリスト》や《ディアナとニンフたち》と並んで画家初期の貴重な作品となる。またフェルメールが描いた作品で、これまで模写が見つかったことがないことからも貴重な史料となっている。
アーサー・ウィーロックがフェルメールの作品として自分の著書に収録した以後は、フェルメールの作品として紹介されることが多くなったが、未だに疑問を持つ人もいる。
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