鳥の巣狩り

《鳥の巣狩り》は、フランスの画家ジャン=フランソワ・ミレーによって1874年に描かれた作品である。ミレーの描いた最後の作品であり、アメリカのフィラデルフィア美術館に所蔵されている。

図像解説

《夜の鳥狩り》とも呼ばれるミレー最後の作品は、夜の木々に集まる野生のハト狩りに出かけた4人の人物を描いている。 立っている二人は、松明を使って鳥たちを驚かせ、こん棒を使って宙を舞う鳩を倒している。鑑賞者に顔を向けているほうの人物は、松明の燃料として背中に大きな乾草を積んでいる。その間にもう2人の人物が、地面に這いつくばって落ちた鳥を集めている。明るく照らされた鳥があらゆる方向に狂ったように飛び回る恐ろしい場面の背景として、暗緑色の森が描かれている。

技法

彼の初期の絵画のほとんどで強調されている、束縛からの熱狂的なエネルギーとは程遠い作品である。ミレーはこの作品を、子供の頃の鳩狩りの思い出に基づいて制作したのであろう。ほとんど印象派のような筆づかいや、鳥を照らす松明の光の効果は、爆発的な動きの感覚を作品に与えている。より緩やかな筆運びは、イギリスの自然主義画家ジョン・コンスタブルの作品や、レンブラントやティツィアーノのような偉大な巨匠の後期作品なども想起させる。

しかし全体的な効果は、狂気的な視覚描写において後の芸術家、特に1940年代から1950年代のアクション・ペインターに影響を与えた抽象表現主義のものに近い。動きのある筆運びや絵の具のしぶきが特徴のアクション・ペインティングは、フランスでは「タシスム」と呼ばれた。