作品概要
《閂》は、画家のジャン・オノレ・フラゴナールによって制作された作品。制作年は1777年から?で、ルーヴル美術館に所蔵されている。

18世紀ロココ絵画の代表作
《閂(かんぬき)》はフランスのロココ期の画家ジャン・オノレ・フラゴナールの作品である。《閂》はフラゴナールの最も有名な作品の一つであり、18世紀絵画を真に代表する実例である。本作品は18世紀の放蕩的スピリットを表した真のシンボルであり、当時の画家達の精神状態を、特にフラゴナールの師でありロココ絵画の代表的画家でもあるフランシス・ブーシェのそれを反映している。
一見、求愛する男性と弱々しく抵抗する女性は、フラゴナールが全キャリアを通して好んだ、気軽でエロチックなテーマの流れを汲んだものに見えるかもしれない。しかし、強烈な明暗対称法の効果とダイナミックで力強い対角的な構図によって、このシーンは見る者を引きつけるを帯びている。男性はなぜドアをロックしようとしているのか?
《羊飼いたちの礼拝》とのペアリング
《閂》はドゥ・ヴェリ公爵からの発注で《羊飼いたちの礼拝》と対になる作品として描かれた。フランスの考古学者ルノアは《閂》を「奇妙なコントラストによって」《羊飼いたちの礼拝》と対をなす「自由で情熱に満ちている」作品と評した。《閂》は聖的な愛とは逆に、世俗的な愛を表現している。
両作品は公爵死後のオークションで離れ離れになり、1988年に《羊飼いたちの礼拝》がルーブル美術館に寄付されたことによって再び対に戻った。両作品に共通しているのは形式と使用した色の幅のみで、奇妙なコントラストは画家の気まぐれによるものではない。フラゴナールは両作品によって、愛が持つ2つの意味、すなわち、18世紀に特徴的な肉欲的かつ放蕩的な愛と、神聖で宗教的な愛を対比した。
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