作品概要
《ぶらんこ》は、画家のジャン・オノレ・フラゴナールによって制作された作品。制作年は1767年から?で、ルーヴル美術館に所蔵されている。

《ぶらんこ》はフランスのロココ期の画家ジャン・オノレ・フラゴナールの作品である。別名《ぶらんこの絶好のチャンス》。本作品はロココ時代の傑作の一つであり、フラゴナールの最も有名な作品である。
奇妙なリクエスト
《ぶらんこ》の発注者は放蕩で悪名高いフランスのサン・ジュリアン男爵で、「司教に押されるぶらんこに座っている夫人」という設定の、愛人の肖像画がリクエストされた。この奇妙なリクエストは、真面目な歴史的主題を描くドワイエンなどの他の画家たちに断られた後で、フラゴナールにまわって来ることとなり、結果的にフランスロココ絵画における最も象徴的な作品が生まれた。手前にはプレイボーイの男爵自身が描かれ、片手でバランスを取りながら、もう一方の片手で夫人のスカートの中を指している。男爵はフラゴナールに「あの可愛い子の足が見える場所に私を描いてください。」という具体的な指示を出していた。
作品が暗示するもの
男爵の愛人はぶらんこの上で空中を揺れている。彼女は軽薄なまでに自由奔放で、その場の勢いによって靴を空中に放り出している。構図の背景にいる男は、もともと司教になるはずだったが、本作ではフラゴナールによって愛人の夫に変更されている。夫の役割は少なく、影の中に追いやられている一方で、男爵は夫人のドレスの下で明るく描かれている。
ぶらんこの下にいる2人のケルビム(智天使)は、人間達の下劣な行為を心配しているように見える。1人は不安そうに愛人を見上げ、もう1人は険しい顔で目をそらしている。左側にあるキューピッドの石像は唇に指をあて、切迫している秘密の本質を指摘している。様々な象徴を含む《ぶらんこ》は、自発的な瞬間と生きる歓びを捉えただけでなく、すでに始まっていたか、またはこれから始まろうとしていた不倫を暗示している。
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