作品概要
《ナポレオン一世の戴冠式と皇妃ジョゼフィーヌの戴冠》は、画家のジャック=ルイ・ダヴィットによって制作された作品。制作年は1806年から1807年で、ルーヴル美術館に所蔵されている。

1804年パリのノートルダム大聖堂で、行ったナポレオン一世とジョセフィーヌの戴冠式での一場面の絵画である。
ナポレオン一世は数々の戦争、クーデターを指揮し絶対的な権力を得て、自身で皇帝を宣言し、その正当性を証明するために、戴冠式を行った。その場面をナポレオン一世によりダヴィッドに依頼され描かれた。政治的なプロパガンダであり記念碑的な作品である。
脚色された光景
一見実際の場面のようだが脚色されている部分もある。例えば絵画中央にはナポレオン一世の母レティツィアが描かれているが、実際には戴冠式に出席していない。(皇帝になることを反対していた、ジョセフィーヌをよく思っていなかったなどの理由のため)
他にはナポレオン一世は長身で細身に、ジョセフィーヌを若返らせるとなどデフォルメされている。
表現技法
ダヴィッドはルーヴル美術館のルーベンスにより描かれた《マリー・ド・メディシスの生涯 サン=ドニの戴冠》にインスピレーションを得て描かれた。ダヴィッドはボール紙等で戴冠式の模型を作成し構図の研究を行った。
照明の効果により主要人物を150人程の登場人物の中から強調し、宝石、衣装の素材の質感や全ての登場人物が特定できるほど丁寧に綿密に描かれた。ダビット自身も画面中央付近にひっそりと描かれている。
変更された構図
ダヴィッドは当初、実際にナポレオン一世がしたように自分自身で戴冠するシーンを描く予定だったが、あまりに独裁的で挑戦的なため妻であるジョセフィーヌに戴冠する場面に構図を変更した。
ヴェルサイユ宮殿の戴冠の間にほぼ同じ絵画が存在する。作者やサイズはこの絵画と同じで複製された。当時複製はどこか1箇所変更しなければならなかったため、ナポレオンの妹のドレスがオリジナルの白からピンクに変更されている。
そもそもナポレオンが奥さんに冠を授けるのはおかしいと思いました。
2022年6月4日 12:36 pm, ID 54602