作品概要
《地理学者》は、画家のヨハネス・フェルメールによって制作された作品。制作年は1668年から1669年で、シュテーデル美術館に所蔵されている。

《地理学者》は、フェルメールのサインと日付が入った3つの作品のうちの一つである。ほか二つの作品は、天文学者、取持ち女である。
《地理学者》は、科学者の間でも人気の日本式の式服を身にまとっている。それは、知的欲求に満ち溢れた活発な姿勢、背景にある地形図、地球儀、本などからも読み取れる。、人物像や絵の構図を左側に集中させることでよりその人物の誇り高きエネルギーがひしひしと伝わってくる。
絵からエネルギーが伝わってくるよう、フェルメールはいろいろ工夫を凝らした。人物は最初は左側に配置せず、コンパスも垂直に持ち、絵にあるような水平ではなくかったのだ。そして、紙はスツールの下にあったけど、スツールの下に影をつけるために、紙の配置を変更したのだ。
また顔に注目すると、顔のイメージはぼやけている。この技法は、フェルメールの作品《婦人と召使》で使用された技法と酷似しており、ぼやけさせることで、絵に動きがあるように表現したと考えられる。そしてその表情は、日光によるものか、何か考えが浮かんだのであろうか、鋭く目を細めているのが印象的である。
また背景のカーテンと東洋デザインのカーペットからも意外な真実が浮かんだということを印象付け、そして、真実を確かめるため、本を掴んでいるようだとセリーナカーは評す。また地球儀に着目すると、地球の黄土色の部分を何度も重ね塗りしており、楕円形の装飾物のようになっている。
この地球儀から、意外な真実が明らかになる、将来の教育のための情報を強く求めていることがうかがえる。
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