作品概要
《ローヌ川の星月夜(星降る夜)》は、画家のフィンセント・ファン・ゴッホによって制作された作品。制作年は1888年から1888年で、オルセー美術館に所蔵されている。

1888年9月に描かれた《ローヌ川の星月夜》は、フィンセント・ファン・ゴッホが描いたアルルの夜景の一枚。描かれているのは当時ファン・ゴッホが借りていたラマルティーヌ広場に面する黄色い家から徒歩1、2分のローヌ川岸からの眺めである。
暗い夜空と光の鮮やかな対比は、《夜のカフェテラス》(同月の早い時期に描かれた)を含む有名な油絵や、のちにサン=レミ=ド=プロヴァンスでキャンバスに描かれた《星月夜》の主題となった。
本作のスケッチは、1888年10月2日にファン・ゴッホから友人のユージン・ボッシュに宛てられた書簡に同封されている。
この絵は《アイリス》とともに1889年のアンデパンダン展に最初に出展された。《アイリス》を追加したのは弟のテオで、フィンセントがもともと出展しようとしていたのはおそらく、現在フィリップス・コレクションに収蔵されているアルルの公園を描いた絵の方と考えられる。
主題
本作に描かれた景色は、湾曲したローヌ川を東岸の河岸道路から西岸に向かって眺めたもの。北から流れてきたローヌ川はここで右に湾曲し、アルルの街の基礎になっている岩を取り囲むように流れている。
左手にあるサン・ジュリアン教会とサン・トロフィーム教会の塔から左岸を進むと、アルルと西岸にあるトランケテイユの郊外を結ぶ鉄橋がある。これはラマルティーヌ広場から南西の眺めと一致する。
背景
ファン・ゴッホは弟テオへの手紙の中で本作について説明している。
「30センチ四方のキャンバスを同封した。簡単に言えば夜景、もっと詳しくはガス灯の下で描いた星空だ。空は淡い青緑色で水はロイヤルブルー、地面は藤色だ。街は青と紫。ガス灯は黄色で川面に映った灯は朽葉色から緑がかったブロンズ色まで。アクアマリンの空にはおおぐま座が緑とピンクに輝いて、その青白さがガス灯の眩しい金色とコントラストを描いている。画面の手前には恋人たちがいる。」
実際には、この絵画の景色は北の空にあるおおぐま座を背にして描かれたものである。手前には最初に描き終わってまだ濡れているところに絵の具を重ねて大幅に修正した痕跡がある。引用した手紙での説明は、おそらく元々の構図に基づいたものと考えられる。
夜の色彩
ゴッホにとって夜景を描くことは大きな挑戦であり、苦心して取り組んだ。《ローヌ川の星月夜》を描くために選んだポイントからは、アルルの街のガス灯がローヌ川のきらきら輝く川面に映っているのが見える。手前の河岸を二人の恋人がそぞろ歩いている。
ゴッホは色彩を描写することを重視していた。弟テオへの手紙の中で、描いた物の色彩を詳しく説明している。《ローヌ川の星夜空》を含む夜を描いた絵画では、ゴッホが夜空に輝く色彩と、その時代に新しく生まれた人工的な光とを捉えようと心を砕いていたことが表れている。
大衆文化への影響
ブライアン・イーノとジョン・ケイルが1990年に発表したアルバム『Wrong Way Up』中の一曲「Spinning Away」に『ローヌ川の星月夜』が登場する。この歌の2番でミュージシャンが見た景色が「アルルの夜空のようだ」と歌われている。
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