作品概要
《メズタン》は、画家のジャン・アントワーヌ・ヴァトーによって制作された作品。制作年は1718年から1720年で、ニューヨークに所蔵されている。

おそらく1718年から1720年の間に描かれた小さなキャンバスの《メズタン》は、アントワーヌ・ヴァトーの最も卓越した作品の一つである。
メズタンとは
「メズタン」とはイタリアのコンメディア・デッラルテという即興仮面喜劇の有名なキャラクターであり、パリのステージで定着したものである。ストックキャラクターのブリゲーラ(道化)の一変型であると考えられる。メズタンは16世紀に初めて登場する。
メズタンは熟達した策士でトラブルメーカーであり、必要とあらば暴力行為を犯すこともある。しかし、概してブリゲーラに比べ穏やかで、特に晩年は寛大で洗練された性格である。
多くの場合、メズタンは音楽好きで、歌と踊りがとてもうまい。その時々で彼のキャラクターは大きく異なり、忠実な使用人の時もあれば、主人の失墜をたくらんでいたり、うそつきの夫の時もあれば、妻にだまされることも。また、ブリゲーラよりも女性への関心が強く、ナンパする姿は気味悪く映る。
作品の分析
アントワーヌ・ヴァトーは、本作品を描くにあたり、メズタンの頭部を色チョークで描いて研究している。この研究で描いた頭の角度、上を向いた目、開いた口そのまま本作品に適用されている。メトロポリタン美術館にはその色チョークで描いた頭部の絵も所蔵されている。
作品の中でメズタンは、屋外の石のベンチに座り、ギターを弾きながら悲しげに見えない窓を眺めている。メズタンの背後に女性の庭園像が背を向ける形で描かれており、報われぬ恋を示唆している。
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