作品概要
《パンの勝利》は、画家のニコラ・プッサンによって制作された作品。制作年は1636年から1636年で、ロンドンナショナルギャラリーに所蔵されている。

《パンの勝利》はフランス古典主義を代表する画家ニコラプッサンにより1636年に描かれた。ロンドンナショナルギャラリー所蔵。
この作品はプッサンの生涯の中で重要な作品の一つである。伝統的な古典様式と初期ルネッサンスへの先例へと、自らのスタイルを変革した彼の独特の厳密さが、この作品の中に表れている。当時は、原始主義への回帰のように見えたに違いない。しかしそれにもかかわらず、この変革は彼が残りの生涯を捧げた絵画様式の基盤を作り上げた。
牧羊神パン
神話上の祝いのこの描写は、森林、牧羊神である、パンの像の前のニンフとサテュロスのお祭り騒ぎを表現している。この作品においてのパンの性質は、羊飼い、果樹園の守護神プリアープスの性質も合わせ持っており、二つの神は豊穣とバッカスの祭式との関連でよく知られている。
また本作品は、多くの文学的及び視覚的な引用も含んでいる。演奏されている楽器や、前景にあるいけにえの鹿と支柱はいずれもパンかプリーアプスに属するものか、もしくは儀式に関連するものである。それらの中には葦の管でできたパンの笛や、喜劇や悲劇、風刺劇で使われた演劇用の仮面、そして羊飼いが使う道具などが含まれている。
来歴
この作品はリシュリュー枢機卿により制作を依頼され、1636年5月にローマからパリへ送られた。
カンザス市ネルソンアトキンス美術館所蔵の《バッカスの勝利》と対画であり、リシュリュー城にあるロワの飾り棚の装飾の形状の一部のためにデザインされた。
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