作品概要
《シテール島の巡礼》は、画家のジャン・アントワーヌ・ヴァトーによって制作された作品。制作年は1717年から1717年で、ルーヴル美術館に所蔵されている。

《シテール島の巡礼》は、アントワーヌ・ヴァトーが王立絵画彫刻アカデミーに入会するために描いた作品である。現在はルーブル美術館に所蔵されている。
作品の題材
本作品は、フランスの貴族が楽しんだ恋の祝祭あるいはパーティーの場面を表現している雅宴画を描いている。作品では、カップルの周りを飛ぶたくさんのキューピッドや性愛の神であるヴィーナスの像がカップルの距離を縮めさせている。
作品の中心となっているのが手前にいる3カップルである。座っているカップルは会話に夢中であり、真ん中のカップルは前を行くカップルに次いで丘を降りようとしているが、前を行くカップルの女性はヴィーナスに見とれている。光や筆の薄いタッチにより、季節はいつなのか、また夜明けか夕暮れなのかは見る者の想像に任される。
出発する場面か
美術史学者の間では、この作品は、人々が島に到着した場面なのか、それとも島から出発しようとする場面を描いているのか意見が分かれる。しかし、人々がカップルになっていることから、出発しようとしているという意見が多数派である。
美術史学者の間でこの船旅の物語について様々な解釈がなされている。しかし、ヴァトーはあえて答えを示していない。
シテール島とは
ギリシャの島の一つであるシテール島は、古代世界では愛の女神ヴィーナスの出生地であると考えられていた。このことから、シテール島は女神と愛の聖地となった。
シテール島の物語は17世紀のオペラや劇などの影響も受けている。フローラン・カートン・ダンクールの劇『3人のいとこ(Les Trois Cousines)』では、巡礼者の格好をした女性がコーラスラインから外れ、島への航海に観客を誘う。島ではだれもが理想のパートナーに出会えるのである。
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